常にチャレンジをする本物の自転車工房でした
サイクルモードでお話をうかがって取引を開始した「TSURUOKA RACING」さんの工房(というよりは工場という規模でしたが)に見学に行ってきました。店舗・製造工場・塗装工場の3ヶ所を社長さんとビルダーさんが丁寧に3時間も掛けて説明してくれて、設備やオーダー方法、コンセプトなどたっぷりとお話を伺うことができました。
30年に渡って主に競輪選手用のNJS認定フレームを「BOMBER PRO」というブランド名で製造していますが、「DONTZER(ドンツァー)」というベーシックなロードフレームと、イタリアデザインの「bici bianchini(ビチ ビアンチーニ)」というクラシックテイストなブランドも展開しています。
通常クロモリ自転車の工房さんというとパイプの加工、溶接までの作業で塗装は外注ということも多いですが、自分達がこだわる品質を保つために塗装工場も自社で構え、さらにはカーボンフレームやパーツの加工・修理も行うためにフレームがまるごと入る大型のオートクレーブの釜まで揃えています。
工場に常備している2台の試乗車にも乗らせて頂くことができました。一台はKAISEIの8630と017のパイプをベースにしたフォークまでクロモリのモデル、もう一台はCOLUMBUSのSPIRITパイプをベースに、オーバーサイズのカーボンフォークを使ったモデルでした。
もちろんフルオーダーができるので、実際に注文する際には乗り心地は色々と変えられるのですが、今回乗った2台はどちらもBB周りがしなやかな味付けになっており、踏み込むとスッとたわみますがちょうど良い感触で反発し足にくることなくグングンと進んでくれます。ヘッド周りやバックは絶妙な剛性感を保っているので不安定な感じは微塵もなく、私個人的にはまさにど真ん中の好みの乗り味でした。オーバーサイズのカーボンフォークモデルのほうがヘッド周りがかっちりとするのでレースに出るならこちらですかね。
30年に渡って数多くのお客様から感覚的な要望を受けて、それをしっかりと形にしてきた膨大な積み重ねがあるので、単純に溶接・塗装するというだけの工場ではなくフィーリングの部分も汲み取ってオーダーを受けてくれる職人集団です。もちろん現物を見ていただければ尚わかるのですが、溶接と塗装の技術も一級品でした。
ベーシックなジオメトリーのロードモデルで、単色塗り仕上げ約220,000円(税別)~とかなり抑えた価格設定になっており、カスタムをする場合もしっかりと見積もりを致します。
カラーはサンプルさえあればどんなカラーにでも塗れますが、オートペイントカラーズのような車のカラーでの指定が一番確実なようです。さらに下の写真にもありますが、メッキ処理やメッキ調のペイント、水圧転写による難易度の高い模様の再現などもできる高い技術を持っています。
これだけバリエーションのある美しい塗装をできるところは今まで見たことないです。
カッティングステッカーの大型プロッターもあるので、塗り直しの際のロゴの再現なども対応してくれます。
納期は競輪選手からのオーダーの入り具合などによってかなり左右されるようですが、最近の一部のビルダーさんのように半年~一年以上待つということは無さそうです。
これだけの規模の工房を見学するのは初めてでしたが、いや~自転車屋を始めてから一番と言ってもいいぐらい面白かったです!
自分の店の工場のつもりでぜひ活用して下さい!といううれしい言葉ももらったのでフレームのオーダーだけでなく塗装や修理でも色々とお世話になろうと思っています。
自転車と工場内の写真もたっぷり撮ってきたのでぜひご覧下さい。