チューブレスの可能性を探る旅:その2(実験編)
以前記事にしたように、チューブレスの性能がすっかり気に入って使い続けていますが、やはりより多くのお客様におススメするにはまだ色々と難しい部分があるので、ちょっとずつその壁を取り除くべく、まずは一番の問題となる出先でのパンク修理時の対処法について実験してみました!
出先でのパンク修理というと以下のような方法が考えられます。
(1)バルブを外してチューブを入れる
(2)IRCファストリスポーンなど、後から充填するタイプの修理剤を使う
(3)あらかじめ入れておいたシーラントの効果で穴を塞ぐ
(4)タイヤをはめたまま、外から穴を塞ぐタイプの修理キットを使う
(1)はタイヤの着脱がすんなりできるかどうかでかなり難易度が変わってしまいますが、実験するまでも無く一番確実な方法なので、シーラント除去方法と一緒に別の機会に触れようと思います。
(2)は小さな穴であれば簡単確実な方法で、エアも一緒に入るのでトライアスロンなどのレース中にはかなり有効だと思いますが、サイドカットなどの大きなキズには対処しきれないのと1本で1回しか使えないので今回は省きます。
ということで、(3)と(4)について効果のほどとメリット・デメリットについて、自分の目で確認すべく実験してみました。
実験したタイヤは昨年から約2000kmぐらい使用したコンチネンタル グランプリ5000チューブレス 25mm幅です。
一応グランプリ5000は「レディ」ではなく「純」チューブレスですが、メーカーが少量のシーラントの使用をすすすめているのとパンク修理のテストのために、STAN’S NO TUBESのシーラントを50ml入れてあります。
まずは針金状の細いものが刺さった場合のパンクの場合
針金や細いガラス片など、かなり遭遇する可能性の高いパンクだと思います。
エアは4気圧入れた状態ですが、即座にシーラントが出てきて穴を塞いてくれました。
これぐらいの穴でもクリンチャーだと結構短時間でエアが抜けてしまうので、かなり効果的ですね。
走っているうちに刺さっても気付かないうちに直って走り続けているレベルだと思います。
お次はもう少し太いクギ・ネジの類が刺さったパンクの場合
今まで自分でも何回かあったのが極太のクギやネジが突き刺さるパンク。
どうしてこんなものが??と思うぐらいにまっすぐうまく刺さることがあります。
先ほどのホチキスの芯の場合もそうですが、シーラントが出てきた時にパンク箇所を下側にして持つと、よりシーラントが穴部分に集まって塞ぐ効果が高くなります。
タッピングネジをぐりぐりと穴が大きめになるようにわざとこじりながらねじ込んでみましたが、これでもシーラントで結構しっかりと塞がりました。
カットキズではなく、針金でもクギでも丸穴状のキズであれば、かなりシーラントの効果は高そうです。
ただし効果を最大限にするためにはシーラントの量も結構重要になります。
メーカーの人に聞くと、(タイヤの幅)mlぐらい入れるのが基本ということでしたが、実際に入れてしばらく様子を見てみると、例えば25mm幅のタイヤで基本の30mlぐらい入れると、下図左のようにタイヤ裏面とリム内部にへばりつくようにシーラントが広がっています。(ここでは積層シーラントと勝手に呼びます)
この状態でも、ホチキス芯のような細い穴であれば積層シーラントが塞いでくれるようですが、大き目の穴だとちょっと塞ぎきれない時があります。
また、30mlぐらいだと2~3ヶ月で結構乾いてしまい、パンク修理効果がさらに薄れてしまいます。
そのため各メーカーでは大体3ヶ月ぐらいを目安に再度シーラントを入れるように推奨しています。
ただそれもなかなか面倒くさいので、最初から倍量ぐらい入れると図の右のように流動シーラント(と勝手に呼びます)ができるので、これがパンク修理に効果を発揮してくれます。
また次に書くような修理キットを用いての修理の場合は、実験してみると積層シーラントだけでは足りず、流動シーラントがある状態にしないとだめですね。
サイドカットのような大きく切れたパンクの場合
出先で一番あって欲しくないパンクです。4~5mmの幅であってもシーラントでは塞ぎきれないことが多いです。チューブを入れようと思ってもまず手をシーラントでベタベタにしながらタイヤを外して、なんとかふき取ったりボトルの水で流して、カットした部分にタイヤブートなどをあてて養生して、チューブを入れて、、と考えただけでイヤになります。
これがあるからチューブレスを勧めるのをためらうのですが、最近出てきた各種修理キットがどの程度簡単に施工できて、かつ効果を発揮するのか試してみました。
カッターでトレッドからサイドに渡って切ってみました。いきなりやり過ぎて10mmぐらいに大きく切れてしまったので、後からもう一回5mmぐらい切ってみました。
使った修理キットは以前も少し紹介した、EFFETTO MARIPOSAのTAPPABUCOと、STAN’S NO TUBESのDART TOOLです。
写真だけではわかりづらいかもしれませんが、今回試してみて気が付いたことは・・・
・10mmぐらいザックリ切れた時、DART TOOLはかなり有効。かえしが付いているので抜けにくく、シーラントとくっついてしっかり塞がる印象。大きく切れた時は複数個使うと良いとマニュアルには書いてあるが、今回は1個で十分塞がった。
逆にTAPPABUCOはある程度は塞がるが、少し内圧を上げるとプラグがにゅるっと出てきてしまった。
・ただし!4~5mmのシーラントで塞がるかどうか微妙なカットの場合、かえしが付いた矢の部分が大きいのでDART TOOLが刺しにくい。特にグランプリ5000のような比較的トレッドもサイドも厚めのタイヤの場合、弾かれるようにしてかなり刺しづらい。今回は結局5mmのキズには刺せずに矢が曲がってしまった。
逆にTAPPABUCOは4~5mmのキズの場合はすんなり刺せて、プラグが飛び出てくる感じも無かったので、小さなキズはTAPPABUCOのほうが使いやすそう。
以上をふまえて、
★タイヤ幅が広くてケーシングやトレッドがしなやかなグラベルタイヤやシクロクロスタイヤは、シーラントを多めに入れてDART TOOLを持っていればかなりパンクに対応できそう。
★25~28mm幅のロードタイヤの場合は、シーラントを(タイヤ幅の倍)mlぐらい入れた上でTAPPABUCOとDART TOOL両方持っていければ良いのですが、あんまりかさばるのは私もイヤなので、代理店の人に怒られそうな裏技としてTAPPABUCO一式+DART TOOLのスペアとして出ているDART REFILL(矢のみ5個入り)を用意すれば、ちょうどREFILLのケースにTAPPABUCOのプラグを一緒に入れられるし、DARTを刺すときにはTAPPABUCOのニードルを代用して結構すんなり刺せたので、かなり使いやすいセットになりそうです。
レースに使うのか、ツーリングに使うのか、ツーリングでもオンロードかオフロードか、タイヤの着脱がどの程度できるのか、、など使用条件によってもタイヤ・ホイール・シーラント・修理キットの組み合わせは結構変わってくるので、今回の実験をふまえて次回は用途別のおすすめの組み合わせをまとめてみようと思います。次回を書く気力があれば、ですけど。
自動車のチューブレスタイヤをパンク修理するときのテクニックで、刺さった物の穴が小さい場合や鋭利な場合など、綺麗な丸穴で無い場合は、わざとにキリのようなもので穴を大きく綺麗な丸穴にしてパンク修理します。よって、DART TOOLの一式と小さなキリも一考なのではないでしょうか? 挿すほうの道具が弱いのは不安ですけど、大は小をかねるので^^;
コメントに気が付くのが遅くなってスミマセン!
前からあるPanaracerのMTBチューブレス用修理キットなどもキリで穴を広げてから修理することになってますね。
某タイヤメーカーのエンジニアが、比較的圧の高いロードタイヤでわざとタイヤを破壊するようなやり方はどうだろうか?と言っていたのと、別途キリ状の工具を持っていくのが嫌がられそうだな、と思って躊躇していましたが、ひとつ確実な方法ではありますよね。
どこかでその方法も実験してみたいと思います!